天窓(トップライト)の雨漏りに火災保険が使えるケースと使えないケース

天窓の雨漏りを発見し「できるなら火災保険で修理したい」といった方は多いのではないでしょうか。
天窓は設置する際、屋根の一部に開口部を作るため、雨水が浸入しやすい箇所です。
原因はさまざまですが、すべての雨漏りに火災保険が使えるわけではありません。
この記事では、天窓の雨漏り修理に火災保険が使えるケースや使えないケースを紹介します。
実際に火災保険を利用する場合の流れや注意点も解説しているので、申請する際に役立ちます。
ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
天窓(トップライト)の雨漏りは自然災害が原因の場合に火災保険が使えるケースがある

天窓の雨漏りは自然災害が原因で発生している場合のみ、火災保険を利用できる可能性があります。
たとえば以下のような被害を受け、雨漏りが発生した場合は火災保険が使えることもあります。
・台風によって飛んできた木の枝や瓦、看板などが天窓にぶつかって割れた
・降ってきた雹(ひょう)や霰(あられ)が天窓にぶつかって、ひびが入った
ただし自然災害でも地震で被害を受けた場合は、火災保険の範囲外です。
もし地震によって天窓が歪んだり割れたりして、雨漏りが発生した場合は火災保険が使えないので注意してください。
雨漏りした天窓(トップライト)の補修に火災保険が使えないケース

雨漏りした天窓の補修に火災保険が使えるのは自然災害が原因の場合のみで、以下のケースでは使えません。
・経年劣化によって雨漏りしている
・施工不良によって雨漏りしている
・自分の不注意によって天窓を破損させた
・修理費用が免責金額を下回る
以下で1つずつ解説していきます。
経年劣化によって雨漏りしている場合
経年劣化によって雨漏りしている場合、火災保険は使えないので注意してください。
天窓の耐用年数は約20~30年と言われています。
天窓は屋根と同じく紫外線や雨風の影響を受けやすいため、経年劣化は避けられません。
たとえば経年劣化によるコーキングの劣化や防水シートの傷み、ガラスやフレームの破損が原因で、天窓に雨漏りが起きている場合は火災保険を申請できません。
実費で修理する必要があります。
施工不良によって雨漏りしている場合
施工不良によって雨漏りが発生している場合も、火災保険は使えません。
天窓は屋根の一部に開口部を作るため、天窓を設置する際の施工が不十分だと雨漏りの原因になり得ます。
たとえば天窓を取り付ける際に隙間ができていたり、コーキングの厚みが不十分であったりすると、雨水が浸入しやすくなります。
施工不良によって雨漏りしている場合は、まずは保証書を確認したうえで、施工業者に問い合わせてみてください。
自分の不注意によって天窓を破損させた場合
自分の不注意によって天窓を破損させた場合も、火災保険が使えないケースの1つです。
たとえば以下のような場合です。
・子供が室内でおもちゃを投げた際に天窓のガラスに当たった
・清掃中に脚立や掃除道具が天窓のガラスにぶつかってしまった
・天窓の開閉時に強引に押しすぎた
上記の理由で天窓が破損したりひびが入ったりして、雨漏りが発生した場合は火災保険が使えません。
修理費用が免責金額を下回る場合
修理費用が免責金額(自己負担する金額)を下回る場合も、火災保険は使えません。
火災保険に加入する際は、必ず免責金額を事前に決めています。
免責金額には、フランチャイズ方式とエクセス方式の2種類があります。
フランチャイズ方式は、修理費用が免責金額以上であれば保険金が全額支払われる仕組みです。
たとえば免責金額が20万円で修理費用が30万円の場合は、保険金が30万円支払われます。
一方エクセス方式は、修理費用から免責金額を差し引いた金額が支払われる仕組みです。
たとえば免責金額が20万円で修理費用が30万円の場合は、保険金が10万円支払われます。
ただしどちらの方式も、修理費用が免責金額の20万円を下回る場合は保険金が支払われません。
天窓(トップライト)の雨漏り修理で火災保険を申請する流れ

天窓の雨漏り修理で火災保険を申請する場合は、以下の流れを参考にしてみてください。
・保険の補償範囲を確認する
・保険会社へ連絡する
・修理業者を探す
・見積もりを依頼する
・保険会社に必要書類を郵送する
・保険会社による査定が行われる
・修理工事が行われる
・保険金が支払われる
以下でくわしく説明していきます。
保険の補償範囲を確認する
まずは保険の補償範囲を確認します。
補償範囲が家財だけの場合は火災保険で、天窓を修理できないからです。
補償範囲が建物だけなのか家財だけなのか、もしくは建物と家財両方なのかを確認してみましょう。
保険会社へ連絡する
補償範囲を確認して問題なければ、加入している保険会社に連絡します。
連絡先は加入している保険会社のwebサイトや、受け取っている保険証書に記載されています。
自然災害によって被害を受けたことや、被害状況を伝えてください。
修理業者を探す
天窓の雨漏りを修理してくれる業者を探します。
業者は価格の安さだけで選ばず、今までの施工実績や口コミ、評判なども確認したうえで選びます。
費用をできるだけ抑えたい場合は、自社施工業者に依頼するのがおすすめです。
下請け業者に工事を依頼せず、自社で最初から最後まで施工を担当するため中間手数料が発生しません。
見積もりを依頼する
業者が決まったら雨漏りしている箇所を点検してもらい、見積書の作成を依頼します。
業者には事前に火災保険を使って修理したい旨を伝えておくと、スムーズに対応してもらえます。
保険会社に必要書類を郵送する
保険会社から書類が届くので必要事項を記載し、その他の必要書類と一緒に郵送してください。
保険会社からは、保険金申請書や被害の状況説明書などが送られてきます。
ほかには被害を受けた箇所の写真や、修理の見積書をはじめとした書類が必要なことが多いです。
保険会社による査定が行われる
必要書類を送った後は保険会社による査定が行われ、保険金額が決定します。
被害の原因や状況の確認、適切な保険金額の算出をするために、損害保険鑑定人が訪れるケースもあります。
火災保険の契約者が立ち会う必要があるので注意してください。
修理業者も立ち会ってくれる場合があるので、損害保険鑑定人が確認に来る場合は業者に連絡しておきましょう。
修理工事が行われる
保険会社による査定が終了したら、電話や書面で連絡がきます。
無事に火災保険が利用できると確認できたら、修理を始められます。
保険金が支払われる
保険金が支払われるので、通知と同じ金額であるか確認します。
基本的にはお客様の指定口座に振り込まれますが、修理業者の口座に直接振り込むことも可能です。
天窓(トップライト)の雨漏りに火災保険を利用する際の注意点

天窓の雨漏り修理に火災保険を利用する際は、以下に気を付けてください。
・被害を受けてから3年以内に申請する
・被害箇所の写真を撮影しておく
・怪しい業者と契約しない
それぞれについて、詳しく説明していきます。
被害を受けてから3年以内に申請する
火災保険は被害を受けてから3年以内に申請しなければ、保険金を受け取れないので注意してください。
たとえば台風で天窓のガラスにひびが入り雨漏りが発生した場合、台風の発生日から3年以内に申請する必要があります。
時間が経つと雨漏りの原因特定が難しくなり、本当に自然災害によるものなのか認定しにくくなってしまうので、早めに申請することをおすすめします。
被害箇所の写真を撮影しておく
火災保険を申請する場合は、被害箇所の写真を必ず撮影しておきます。
保険会社に被害状況の証拠を提出する必要があるからです。
室内に落ちた水滴の跡や天窓周りの雨染み、破損部分など雨漏りが発生した直後の状態を撮影しておきます。
さまざまな角度からピントを合わせて、はっきりとした写真を撮っておきます。
天窓の位置が高すぎて自分では撮影できない場合は、危ないので無理せず業者に頼んで撮影してもらってください。
怪しい業者と契約しない
余計なトラブルを避けるために、怪しい業者と契約しないことも重要です。
中には故意に天窓や屋根を壊して、火災保険を申請しようとする悪質な業者もいます。
虚偽の申請をすると、業者だけでなく保険の契約者自身が詐欺に問われるリスクもあります。
「保険を使えば自己負担0ですよ」などと言ってくる業者や、しつこい訪問業者にはとくに注意してください。
たとえ火災保険の申請が通ったとしても、必要のない工事を組み込まれたり、高額な手数料を請求されたりする恐れもあります。
天窓(トップライト)の雨漏りが自然災害によって発生した場合は早めに火災保険を申請しよう

天窓の雨漏りは、台風や雹災をはじめとした自然災害が原因の場合のみ、火災保険を利用できるケースがあります。
経年劣化や施工不良、不注意の破損などによる雨漏りには利用できません。
もし火災保険を申請する場合は、申請期間や怪しい業者に気を付けてください。
時間が経つと自然災害による被害か判定が難しくなるため、被害状況の写真は必ず撮影しておき、早めに火災保険を申請することをおすすめします。

この記事は「内野 友和」が
書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。