天窓の後付けが向いているケース・向いていないケースを徹底解説

この記事は「内野 友和」が
書いています。
1979年生まれ。一級建築板金技能士。父・内野国春の元で建築板金の修行を始め、2014年より代表となり家業を受け継ぐ。20年以上、約5000件の現場経験で培った技術と知識で、建物の屋根・雨樋・板金・外壁工事を通じ、地域の皆様のお役に立てるように努力しております。

「天窓を後付けしたいけど、自宅に適しているか分からない」
「天窓の後付け工事の費用はどのくらい?」
天窓の後付けを検討している場合、上記のように悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
天窓はどの住宅にも設置すべきといったわけではなく、設置した方がよい場合と設置が難しいもしくは設置しない方がよい場合があります。
この記事では天窓の後付けが向いているケース・向いていないケース、天窓の後付けにかかる費用相場や工期を紹介します。
天窓の後付け工事を行う際に気を付けるべき点も解説しているので、後付け工事での失敗を防げるようになります。
ぜひ最後まで目を通してみてください。
目次
天窓の後付けが向いているケース

天窓の後付けが向いているケースは、以下のとおりです。
・昼間でも照明を付けないと暗い
・熱気や湿気がこもりやすい部屋がある
・家にいながら開放感や自然を感じたい
1つずつ説明していきます。
昼間でも照明を付けないと暗い
太陽が出ている日中でも、照明を付けなければ部屋の中が暗いといった場合は、天窓を設置すると照明なしで部屋を明るくできます。
たとえば隣家と距離が近く、リビングの壁に窓があっても十分に太陽光を取り込めない場合におすすめです。
また太陽光が入りにくく、薄暗くなりがちな北向きの部屋にも天窓を後付けすれば、自然光によって部屋を明るくできます。
熱気や湿気がこもりやすい部屋がある
熱気や湿気がこもりやすい部屋がある場合、天窓を設置すれば効率よく換気でき、快適に過ごしやすくなります。
たとえばロフトや屋根裏部屋は熱がこもりやすく、夏場はとくに室温が高くなりやすいですが、開閉式の天窓を設置すれば熱気を外に逃がして空気を循環させられます。
浴室も湿気がこもりやすくカビが発生しやすい場所ですが、開閉式の天窓を設置すれば湿気を外に逃がせられるので、室内が快適になりやすいです。
また浴室の壁に窓がある場合、外からの視線が気になり、なかなか開けにくいといった方も多いのではないでしょうか。
天窓であれば周囲の視線や音を気にせずリラックスできるほか、防犯面でも安心です。
家に居ながら開放感や自然を感じたい
外に出ることなく室内に居ながら開放感や自然を感じたい場合も、天窓の後付けがおすすめです。
リビングや寝室に天窓を設置した場合、寝転がれば青空や星空を眺められるほか、季節の移ろいも室内に居ながら楽しめます。
また以下のように、1日を通して見てもメリットが多いです。
・朝:太陽の光で自然に目覚められる
・昼:日差しで照明を付けずとも室内を明るくできる
・夜:月が出ていれば月明りで落ち着いた雰囲気を感じられる
天窓の後付けは、家に居ながら自然な時間の流れや季節の移ろいを楽しみたい場合にも向いています。
天窓の後付けが向いていないケース

天窓の後付けはすべての住宅に向いているわけではありません。
以下の場合は、天窓の後付けをよく考えたうえで判断してください。
・屋根の劣化が激しい
・屋根がフラットもしくは傾斜が緩い
・住宅の断熱性を重視している
・住宅のメンテナンスの手間を増やしたくない
順番に解説していきます。
屋根の劣化が激しい
屋根材や防水シート、野地板が傷んでいると、天窓を設置した部分から雨漏りが発生しやすくなるため、天窓の後付けは向いていません。
それでも天窓を後付けしたい場合は、屋根の葺き替えやカバー工法を同時に行い、雨漏りのリスクを減らしたうえで設置するのがおすすめです。
屋根がフラットもしくは傾斜が緩い
陸屋根や屋根の傾斜が緩い場合は水はけが悪く、天窓周りに雨水がたまりやすいです。
雨漏りの原因になるため、天窓の後付けはあまり向いていません。
ただしメーカーによっては陸屋根や傾斜の緩い屋根に対応している天窓もあるため、まずは業者に相談することをおすすめします。
住宅の断熱性を重視している
天窓は太陽光を多く取り込める一方、断熱性が低いケースが多いため、住宅の断熱性を重視している場合、天窓の後付けは向いていません。
天窓のガラス部分は、外壁や屋根に比べて断熱性が劣るからです。
そのため夏は室温が上がりやすく、冬は室内の熱が逃げやすいといったデメリットがあります。
メーカーによっては断熱性能に優れた天窓も発売されていますが、その分費用はかかりやすくなります。
住宅のメンテナンスの手間を増やしたくない
天窓は外壁や屋根、その他付帯部と同じで定期的にメンテナンスが必要です。
これ以上、住宅のメンテナンスの手間を増やしたくない場合は、天窓の後付けは向いていません。
天窓の耐用年数は約20〜30年ですが、パッキンやシーリング材の寿命は約5~15年と比較的短いです。
そのため早い段階で、パッキンやシーリング材のメンテナンスが必要となります。
また天窓は屋根に穴をあけて設置するため雨漏りしやすく、早急に修理しないと屋根材などにも被害が広がるケースもあります。
外壁や屋根などのメンテナンスだけでも大変といった場合は、天窓の設置はおすすめしません。
天窓の後付けにかかる費用相場

天窓の後付けにかかる費用相場は、約30~70万円となります。
電動で開け閉めできるタイプの天窓は、電気の配線工事も必要なため、費用が高くなりやすいです。
屋根の上で作業しにくかったり、資材を運びにくい環境だったりする場合も費用が高くなりやすいです。
このように天窓の種類や大きさ、作業のしやすさなどによって費用は変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
屋根の葺き替えやカバー工法を行う必要があれば、同時に行うことで足場代が1回分で済むため、費用を抑えたい場合におすすめです。
天窓の後付けにかかる日数

天窓の後付けにかかる日数は、約3~8日と考えてください。
1日で終わることはほとんどないため、家族のスケジュールなど事前に把握したうえで工事日程を決めることをおすすめします。
また工事は音が出るほか、業者の車や人が出入りするため、事前に近隣に挨拶しておくとトラブルになりにくいです。
天窓の後付け工事を行う際のポイント

天窓の後付け工事を行う場合は、設置する位置やどの業者に依頼するかが重要です。
以下で詳しく説明していきます。
天窓を設置する位置に気を付ける
天窓を設置する位置を誤ると、天窓のメリットを十分に発揮できない場合があります。
たとえば南側に天窓を設置した場合、日差しが強すぎるケースがあります。
眩しすぎたり暑すぎたりして快適に過ごせず、せっかく天窓を設置したのに、いつもブラインドやカーテンを閉めているといった状況になりかねません。
設置位置のおすすめは北側です。
太陽光を十分に取り込みつつ、程よい明るさが期待でき、快適に過ごせます。
天窓専門の業者に依頼する
天窓の後付けは、大手リフォーム業者ではなく天窓専門の業者に依頼すると、失敗を防ぎやすくなります。
大手ハウスメーカーやリフォーム会社は天窓を含む工事全般の知識を持っていますが、天窓に特化しているわけではありません。
一方、天窓専門の業者は天窓や屋根の正しい知識・技術を持っているほか、天窓修理や工事の実績も多いです。
高品質な工事をお願いしたいなら、天窓専門の業者にお願いしてみてください。
また業者に依頼する場合は施工実績や口コミを、業者のWebサイトやネット上で事前に確認することをおすすめします。
天窓が住宅に向いているか考慮したうえで、後付けするか判断しよう

天窓の後付けは、昼間でも暗い・熱気や湿気がこもりやすい部屋があるほか、家にいながら開放感や自然を感じたい場合に向いています。
一方、屋根の劣化が激しかったり屋根がフラットもしくは傾斜が緩かったりする場合は、天窓の設置が難しいです。
住宅の断熱性を重視している場合や、これ以上住宅のメンテナンスの手間を増やしたくない場合も天窓の設置は向いていません。
天窓が住宅に向いているか事前によく考慮したうえで、後付けするか判断することをおすすめします。
天窓の後付け工事を行う場合は、天窓についての正しい知識や技術、豊富な実績を持っている天窓専門の業者に依頼してみてください。

